坂井牧師の「牧会通信」No.1-20
毎週の週報に掲載されているミニコラムです。日々の生活や、教会の内外の皆様との交流の中で感じたことや、目指すべき教会像などなど、牧師の心にあることを皆さんにお伝えしています。
No. 1 牧会通信はじめます
(2021年1月10日)
思うところありまして、毎週の週報に短いコラムを掲載することにいたしました(毎月出していた牧会通信は中止します)。本当は、今年は懇談会を通して、丁寧にみんなで対話を深め、教会のこれからのヴィジョンを確立したいと願っていました。しかしコロナ禍の勢いが続く中、それもままなりませんので、こうしたコラムを通して、牧師が何を考え、どのような祈りをもって群れを見つめ、湘南恩寵教会がどのような教会になってほしいと願っているのかを、お伝えしていきたいと思います。感想もぜひお聞かせください。お付き合いをよろしくお願いいたします。
No. 2 対話を大切に
(2021年1月17日)
私は委ねられた群れを導くうえで、教会に連なるお一人お一人との対話を大事にしたいと思っています。個別での学び会、訪問また会食などを通してじっくり語り合い、その方が大事にしておられることを聴かせていただきます。そして私の大事にしていることも聴いていただきます。その際には、すべて分かり合えるはずという前提は持ちません。私の考えをすべて受け入れていただくことは望みませんし、皆さんそれぞれの考えを全面的に受け入れることもしません。私たちは他人同士、完全に理解しあえるはずがありません。でも、同じ主に選ばれ、愛し合うようにと招かれた神の家族です。ですから、 対話を重ねて相互の「違い」を認めた上で、信頼関係を築きたいと願います。 そういう対話を通し、主が私を変え、皆さんをも変えていかれるのです
No.3 オンラインの恵み
(2021年1月24日)
コロナ禍において、私たちの教会も様々にオンライン対応が進みました。そしてそれによって、これまでにはない形での宣教が進められています。 毎週の説教録画は数十人の方に視聴され、献金をささげてくださる方もいらっしゃいます。Zoomを通して自宅で礼拝をささげておられる方も多くいますが、その中には、それまで私たちの教会と縁遠かった2人の若い姉妹もいます。 毎週土曜日には、私がメールで10名ほどの方に週報や説教要約をお送りしていますが、そうしてメールのやりとりをする中で、求道の友や客員の方々との語らいが深められてもいます。名古屋にいるA兄とのオンライン学び会も毎週行っています。SNSを通しての宣伝によって、一人の求道の友が礼拝に導かれました。根は確実に広がっています。やがて春には花が咲きます。
No. 4 先週の葬儀の慰め
(2021年1月31日)
先週26日、N姉の葬儀が無事執り行われました。湘南に来てから初めての葬儀でした。コロナ禍ゆえに地上においては結局一度もお会いできませんでしたが、それだけに、祈りをこめて司式・説教いたしました。クリスチャンである姪御さんのリクエストで「花も」を賛美し、なんと私がギター演奏まで・・。時折笑い声さえあふれるような、慰めと希望に満ちた葬儀になり、ご遺族も大変喜んでくださいました。「私もキリスト教で葬儀をしてほしい」との声もいただきました。参列くださったS姉とご遺族の方がお知り合いだったというサプライズまであって、主の導きを強く感じさせられた一日でした。ご遺族が求道の道に進まれることを祈っています。
No. 5 夕拝はじまります
(2021年2月7日)
今週からいよいよ夕礼拝が始まります。日曜日の一日を礼拝に集中する 安息日として取り分けるために、夕拝を実施したいと前々から考えておりましたが、なかなか踏ん切りがつかずにいました。しかし、朝に出席できない方からの強い要望と、教師会における先輩牧師からの「伝道のためには夕拝しなさい」との助言に背中を押され、開始に至りました。時間帯をどうするかも悩みの種でしたが、伝道の機会を増やすためにもいっそのこと2回やろうとの牧師の冒険を、長老たちが支持してくれました。ニコデモの様な、夜の 求道者との出会い(ヨハネ3章)を楽しみにしています。また、中高生たち などの信仰教育のためにも豊かに用いられますようにと願っています 。
No. 6 受付奉仕
(2021年2月14日)
先週礼拝後に、受付奉仕の心得についてみんなで分かち合い、初めて来会された方をあたたかくお迎えするためのアイディアを出し合いました。受付奉仕者は椅子に座らないこと、声掛けを意識すること、礼拝後に紹介をしていいかどうか事前に確認する・・etcが共有され、受付台の場所も玄関扉の 近くに移しました。『礼拝終了後、牧師がすぐに玄関に移動し、挨拶してほしい』との要望もいただき、早速、夕礼拝の時から実践することができました。 大切にすべきことは色々ありますが、なんといっても『笑顔でお迎えする』、 これに尽きます。受付だけでなく教会みんなで、笑顔でお迎えしましょう。
No. 7 夕拝の目的
(2021年2月21日)
今月から夕礼拝が開始され、大変祝福されたスタートを切ることができています。この夕礼拝の開始のひとつのきっかけは、水曜祈祷会で読んでいる朝岡勝牧師の「教会に生きる喜び」という本です。その本の中で、夕拝の目的として「一番の目的は、主の日を一日、神の前に過ごすというライフスタイルを実践したい」とありました。「朝に夕に」礼拝する恵みを皆さんと分かち合いたい。礼拝で始まり、礼拝で終わる主の日、その礼拝から派遣される一週間へと皆さんを送り出したいとありました。私もまったく同じ思いです。 「今日は、我らの主にささげられた聖なる日だ。悲しんではならない。主を喜び祝うことこそ、あなたたちの力の源である。(旧約ネヘミヤ記8:10)」 主を礼拝することは、私たちの力の源です。共に礼拝しましょう。
No. 8 教会に連なる者の使命
(2021年2月28日)
「子どもと親のカテキズム」を礼拝で読んでいますが、問42からは「教会」についての教えが続きます。私たちが大切にしている「神の家族」という教会観も示されています。今日の問44では、教会に連なる私たちの「使命」という意識がもたらされます。私たち湘南恩寵教会には主に託された「使命」があり、教会のメンバーは、それぞれの家庭や職場でその「使命」を果たすべく「派遣」されていきます。しばしば言われますが、教会員は顧客・消費者ではなく、教会はサロンではありません。派遣された者たちが集合する前線基地であり、戦いの途中で安息を得る休憩所であるという意識も持ってほしいのです。 牧師は、その教会の戦いを先導するべく主から遣わされたリーダーです。 皆さんを励まし、皆さんと共に「使命」を果たすために、私は来たのです。
No. 9三寒四温
(2021年3月7日)
三寒四温といいますが、依然として厳しい寒さを味わいつつも、春の訪れを感じさせられる陽気に心躍る、そんな季節を過ごしています。私は庭いじりが趣味ですが、草花の芽が動き出す早春というのは特別にウキウキします。とりわけ暖かい日には、土を豊かにしてくれる微生物の息遣いさえ感じられるような思いがして、やがてパールピンクや純白の花に覆われることになる庭模様をイメージしながら、わけもなく庭に出てぼんやり過ごしたりしてしまいます。教会の歩みも、三歩進んで二歩下がるような、忍耐を要する歩みを繰り返しながら、ゆっくりと、でも確実に春へと向かっていくことを信じています。一つ一つの草花の個性的なフォルムとカラーが交錯しながら、 美しい景色が作られていきます。教会も、きっと同じだと思います。
No. 10説教のための対話
(2021年3月14日)
3月7日の礼拝説教(ローマ7:17-25②「わたしはなんと惨めなのか」)が好評です。私としても、記憶に残る御言葉体験をいただいた説教でありましたし、ひとつの理想のかたちを具現化することができました。それは、牧師の孤独な作業としてではなく、神の家族としての教会全体の営みとして説教を準備し、みんなで耳を傾けるというものです。具体的には、牧師と聴衆との対話の中で獲得された言葉が多用されるスタイルになります。前週の礼拝説教の恵みの分かち合いが、次週の礼拝説教準備に反映されることで、恵みが増幅し、「主が生きて、私たちの教会に語りかけてくださっている」との リアリティーが生まれます。こういう対話を、もっと重ねていきましょう。
No. 11 娘の卒業に感謝
(2021年3月21日)
先週金曜日、次女の小学校の卒業式がありました。たった1年だけの茅ヶ崎小学校での生活でしたが、たくさんの友だちと笑い合っている姿に胸が熱くなりました。このコロナ禍の中での転校生としての日々、大変な重圧だったことでしょう。でも本当によくがんばりました。それは、長女も長男も同じです。転校していきなり休校の試練の後、緊張に顔をこわばらせて登校していた子どもたち。友だちができないと、泣きべそをかきながら下校してくる日々でした。しかし、主は彼らに、たくましさを与えて下さいました。良き出会いを豊かに備えてくださいました。親は何もできませんし、していません。神の恵みをいただいて、彼らは自分の足でステップを踏み越えていきました。皆様には本当に、祈りの支えを強く強くいただきました。主にあって心から感謝いたします。祈りを聞かれる主の憐れみ。主の御名はほむべきかな。
No. 12試練の一年
(2021年3月28日)
早いもので、湘南に来てもう一年です。この一年は、私や私の家族にとって、そして私たちの教会にとって、試練の一年でありました。長い無牧の間に蓄積した疲れ、まだ癒えていなかった傷。コロナ禍がそれに追い打ちをかけました。 自分の信仰の貧困を思い知りました。どうしたらいいのかと悩み、祈るたびに、「まず神の国と神の義を求めよ。そうすれば、これらのものはみな加えて与えられる」との御言葉が浮き上がってきました。この一年、何度この御言葉を聴かされたことでしょう。それでもざわめく心をそのままに、主にぶつけ続けました。示されたのは、「自分の十字架を背負いなさい」という御言葉でした。折しも受難週ですが、主に従おうとする者は、誰でも十字架の足跡をたどります。だから苦悩の道は、決して間違いではないはずです。よかった、来てよかったと改めて確認することができました。十字架の向こうに、復活の命の朝を信じつつ。
No. 13イースター
(2021年4月4日)
イースター礼拝には神の家族が相集うことができますようにと祈り求めながら、このコラムを書いています。キリスト教信仰には「集う」ということが本質的重要性を持っているということを、皆さんに覚えていただきたいと願います。コロナ禍は、私たちから「集う」ことの喜びを奪ってしまいました。オンラインでの礼拝出席は大変便利で、新しい礼拝者も起こされました。 しかし、それは決して本来の姿ではないのです。兄弟姉妹がキリストの名によって「集まる」ところ、主はその中におられるのですから。受身的な傍観者でいることから一歩進んでいくところに、もっと豊かな信仰の世界が広がります。迫害下の困難な中で「集会」を大事にし、互いに愛と善行を心がけて励まし合った初期教会の姿を思い浮かべています。(ヘブライ10:25)
No. 14 (2021年4月11日)
本日の礼拝後、短くではありますが全員懇談会を開催できますことをうれしく思います。赴任から一年が経過したところで、私にとっても皆さんにとっても改めてスタート地点を確認するような思いで、招聘状と私からの書簡を共に読み返したいと思います。湘南恩寵教会の再生は私個人のミッションではなく、私たちみんなで取り組むべきミッションですし、みんなで力を 合わせねばとても不可能です。私たち家族は、再生に向けて歩み出そうとする皆さんの一員になりたいと願って、皆さんを信頼してここに来ました。 ですから、みんなで「共に」歩みたい、願いはそれだけなのです。
No. 15 (2021年4月18日)
先週の懇談会での語り合いに、深い励ましを覚えました。この一年の間に「教会を形成する、神の家族を愛する」という視点が与えられ、新たな思いで信仰生活を喜んでいるという声に手応えを感じました。5年後・10年後の ヴィジョンを描いて、大きな夢をもって再開拓伝道にみんなで取り組んでいこうという声に心燃やされました。20年以上はとどまる覚悟を示してほしいとの、牧師への要求もいただきました。真剣に祈って考えたいと思います。その他にも率直な声をいろいろ伺うことができました。それぞれの心の中にあることを、口に出しやすい教会になってきたのであれば、それが何よりうれしいことです。対話を深め、信頼関係を築きあっていきましょう。必ず道は開かれます。
No. 16 (2021年4月25日)
みんなで賛美練習の時を持ちたいとの声をいただき、今週から礼拝前の 時間に隔週で実施することにいたしました。歌い慣れていない新しい賛美歌にチャレンジしたいと思います。ぜひ皆さん、ご参加ください。このような営みを通して、皆さんが会堂に集まる時間が早くなり、礼拝前の時間に祈りの集中が増していくようになることが、一番の願いです。金曜日の祈祷会の時に語り合ったのですが、伝統ある教会では30分前、あるいは1時間前には 多くの人が会堂に集い、静まって礼拝に備えています。私たちの教会でも、そういう霊性を形成していきたいのです。成人クラスを開始したのも、元来この目的のためだと聞いています。朝が難しい方もいらっしゃると思いますが、10時にはみんなが揃うことができたらいいですね。
No. 17 (2021年5月2日)
今週はちょっと気楽にお庭のお話をしましょう。雑草とガレキばかりの 荒地を開墾してちょうど一年ほど経過しました。私の頭の中にあるイメージでは、ようやく30%くらいという感じですが、緑がにぎやかになってきたのはうれしいですね。来年になってコロナが収束したら、近隣にも案内をしてオープンガーデンをするのが夢です。決して大きな庭ではないし、冬の間は ほとんど日が当たらなかったり、制約が多いです。貧乏ガーデナーですから、 苗も資材も欲しいものを買えるわけではありません。でもアイデアと経験とセンスと、何より主の恵みと憐れみによってここまで導かれた「工夫の庭」です。牧師というのは意外に忙しくて、実はほとんど手入れができていません。 農薬も施肥もしていません。でも日々15分ほどの水やりと手入れの継続で、みんな伸び伸びと育ってくれます。教会もきっとそうなっていくでしょう。
No. 18 (2021年5月9日)
毎月第一主日は、月例の小会・執事会を開催しています。教会の皆さんや求道の友の近況を共有したり、課題を覚えて知恵を出し合ったりしています。 小さな教会の小さな役員会ですから、労苦もひとしおで、負担をかけていると心配にもなりますが、こんなに楽しく小会・執事会をしている教会もなかなか無いのではと思うほど、毎回本当に励まされます。先週は、来年に実現予定の会堂のリフォームと外壁塗装についての計画を立てながら、5年先10年先の湘南恩寵教会のヴィジョンを語り合いました。この教会の「あたたかな 雰囲気」を保ちつつ、レンタルスペースとしても活用でき、認知症カフェなどで地域貢献もできるように機能性のある会堂に。ポストコロナの時代、 リモート集会や動画撮影にもよく対応できるような設備を。そして湘南地区への移住者にもアピールするような素敵な教会に、etc。夢いっぱいです。
No. 19 (2021年5月16日)
今週からOpen Church Daysの一か月が始まりましたが、残念ながらコロナウィルスの脅威は止まず、外出自粛される方も多いことでしょう。しかし このような機会に伝道の思いをもって皆で祈りを合わせることができましたことは大変うれしいことです。「チラシ配りをしたのは何年振りだろう」と、T長老が言っておられましたが、無牧の時からの長い試練のあいだ止まってしまっていた教会の活動が、またひとつ動き出しました。私も今回、これまでに来会された方など33名の方に、手書きでお手紙をお送りしました。 本来であれば赴任してすぐ行うべきことでしたが、昨年の今ごろは、そういう考えさえ思い浮かばないほどに混乱していたものです。思うようにならない日々は続きますが、粘り強くひとつひとつ積み重ねていきましょう。