坂井牧師の「牧会通信」
No81-90
毎週の週報に掲載されているミニコラムです。日々の生活や、教会の内外の皆様との交流の中で感じたことや、目指すべき教会像などなど、牧師の心にあることを皆さんにお伝えしています。
No.81 (2022年9月4日)
「献金」についての教え③
9月に入っていよいよ今年も後半です。実は年初に「恵みの感謝と新たな献身」という今年の年間標語を覚えながら、そのひとつの具体的表現としての「献金」についての教えを月一回のペースで掲載しますと宣言しておりました。うっかり失念してしまうところでしたが、改めて三回目をお送りします。
入会志願者の方にお伝えする「献金の心得」は3つです。今日はその①を。 私たちの財産、持ち物、仕事も健康も、生命さえも、すべては神様からの預かりものです。献金というのは、そういう私たちの信仰を確認し、表明することでもあります。そのために、毎月、自分で決めたものをしっかり取り分けて、神様にお返しすることが大切です。収入があったときに、まず、神様への感謝を込めて定額を取り分ける(=聖別する)習慣をつけたいものです。自分が使いたいだけ使ってから、残った分をささげるということにならないように。
No.82 (2022年9月11日)
ぬかみそ原理
先日、恩師からメールをいただきました。長く神戸の神港教会の牧師を務められた岩崎謙先生が、ご病気のために一足早く引退され、埼玉に住まいを移されます。私にとっては説教学の師匠でもある方です。いただいた文章に「ぬかみそ原理」という言葉がありました。ぬかみそに入れる具材は同じものでも、毎日、ぬか床をかき混ぜ、新鮮な空気を入れることが大切だと、赴任当初に前任牧師である安田吉三郎先生から教わったとのことでした。これは、月報の巻頭言の心得として教えられたそうですが、説教も同じです。2000年間変わらないものをいつも変わらずに、 かついつも新鮮に提供するために、丁寧にぬか床をかき混ぜ続ける。それが牧師・説教者の仕事なのだと思います。私も日々丁寧にかき混ぜ続けたいと願います。
No.83 (2022年9月18日)
牧師就職式に参加して
先主日、横浜中央教会において大宮季三先生の牧師就職式があり、私は特命委員として勧告をいたしました。大宮先生は35歳の若い先生で、高知県の芸陽教会から移ってこられました。10年以上の付き合いになりますが、優れた賜物をたくさん お持ちの方です。神奈川地区がいよいよ活性化することを期待しています。就職式では、牧師も教会員もそれぞれに誓約をします。牧師は群れに対する愛と責任を 覚え、教会員は牧師を支えることを約束し、神の御前で厳かに誓約するのです。 思えば、ちょうど2年前の2020年9月11日に、湘南恩寵教会での牧師就職式もなされました。その時の熱い気持ちを、みんなで思い出すことができましたら幸いです。
No.84 (2022年9月25日)
オンライン個別学び会
先週は祈祷会が再開したり東部の信徒修養会があったりと何かと忙しかった一週間でしたが、そんな中で、浅田兄との聖書を読む会を持つことができたのはうれしいことでした。もう2年ほど月2,3回のペースで、青年教育活動として継続しています。オンラインで行えるので双方の負担も少ないのが継続の秘訣かもしれません。色んな話をしながら、創世記のはじめから順番に読み進めてきました。こういう個別学び会を希望される方がいましたら、ぜひ声をかけてください。大歓迎です。オンラインでも対面でも喜んで対応します。牧師としては一番楽しい奉仕のひとつです。
No.85 (2022年10月2日)
網戸の張替え
会堂が見違えるように綺麗になったリフォーム工事。そのラストを飾るように、 網戸の張替えをがんばりました。前から気になっていたのですが、台風でビリビリに破れたのを機に一念発起です。夕礼拝までの間に簡単にできるかとタカをくくっていましたら、コツがつかめず上手くできません。先主日は身体の疲れがピークだったので、心もイライラしてよくない状態。「ダメだ、祈ろう」と、その場で静まりました。すると主は、その後の夕礼拝で非常に豊かな恵みと平安をくださって、 張替えも上手にできるようになりました。主の御名はほむべきかな、という証です。
No.86 (2022年10月9日)
30年の歩みに感謝して
今日は、伝道開始30周年記念礼拝・講演会。講師としてお招きした芦田先生ご家族をはじめとして、たくさんの方々が集って祝福してくださいましたこと、主にあって心から感謝します。30年前に思いを馳せます。当時を知る会員はわずかですが、きっと溌剌とした芦田先生を中心に開拓伝道の活気に満ちた若い教会だったことでしょう。それから30年。大学生が白髪のおじさんに変わってしまうほどの年月です。山あり谷あり、教会としての色んな痛みや労苦も味わいました。そのすべてを備えてくださったのは主であると、確かに今、私たちは確信しています。そして、今もなお主がこの教会の存続をゆるしてくださり、用いようとしてくださっていることを感謝します。まだたったの30年。ここからみんなで湘南恩寵教会の歴史を形成していきましょう。
No.87 (2022年10月16日)
リフォーム献金の意義
先主日の伝道開始30周年記念礼拝・講演会は、本当に祝福豊かなものになりましたことを感謝します。東京恩寵教会の方々など、私たちの教会を祈って支えていてくださる方々がたくさん集ってくださいました。そういう方々にリフォームされた会堂をお披露目できたことも幸いでした。みなさん口々に、「素敵な礼拝堂だ」「開放的だ」と喜んでくださいました。改めてリフォーム献金を通して、教会の再出発のための私たちそれぞれの「新たな献身」を表していきたいと願います。すでに 現在までで40万円弱がささげられ、しかも外部からもたくさんの方がおささげくださっています。応答しても応答しても、いつでも恵みが上回ってきますね。
No.88 (2022年10月23日)
「献金」についての教え④
入会志願者にお伝えする3つの「献金の心得」の②です(①については9月4日のNo81を参照)。旧約聖書から示されるひとつの目安は、収入の十分の一ですが(申命記14:22、歴代下31章、マラキ3:10など)、これはルールではありません。ささげる金額はあくまで自由です。また、生活が苦しくなってしまうほどの無理な献金をなす必要はありません。無理をせず、でもちょっとだけがんばって「自分をささげる」思いを表すというのがポイントです。私がおすすめしているのは、維持献金や礼拝献金、また教会の外部におささげする募金や献金など、全部ひっくるめた合計が、収入の十分の一くらいになるようにすることです。これをひとつの目安に、自分と神様との関係において、ふさわしい献身のありかたを求めてください。
No.89 (2022年10月30日)
10月31日は宗教改革記念日
今から約500年前、1517年10月31日、マルティン・ルターがマインツの司教に 対して「九十五カ条の堤題」を送りました。これが宗教改革の始まりです。
当時のドイツでは、ローマ・カトリック総本山のサン=ピエトロ大聖堂の建築費を賄うために、教皇の許可を得た大商人フッガー家によって贖宥状(免罪符)の 販売が行われていました。ルターはその悪弊を批判し、神学論争を求めるために「提題」を送りました。最初から大胆な宗教改革を企てていたわけではありません。しかし、その反響はルターの思いを超えて大きく、ライプティヒの公開討論会などを経てローマ教会との断絶まで一気に進んでしまい、福音主義プロテスタント教会の分離へと至ることとなりました。神様のなさることは、実に不思議です。
No.90 (2022年11月6日)
愛餐=アガペーについて①
来週、中会の教育研修会で「教会に『集まる』」ことをテーマに座談会で語ることになりました。コロナ禍を経て、『集まる』ことの意義について再考が要されているのでしょう。準備する中で、みんなで食事をする「愛餐」の時間というのが、決しておまけではなくて、実はキリスト教会において本質的に重要であるのではないかと、考えさせられています。私も知らなかったのですが、「愛餐」という言葉は近年のものではなく、聖書に由来し(ユダ書12節)、古代から定着していた「アガペー」という習慣の訳語なのです。そしてアガペーとはギリシャ語で「愛」を意味します。キリスト教信仰と実践における最重要な概念と言ってもいい言葉です。そういうアガペーという言葉で、共同の食事の交わりのことを言い表していたということは記憶にとどめるべきでしょう。教会は、そこにこそ、アガペーの具体的現れを見てきたのです。